のんびりゆったりお気楽に
来週の金曜日(3月20日)は授業が無いということが発覚。
休日!休日!
ってなわけで20日のイベントも行けそうです。
ああ、書いてる内に14日になってしまった。
以下30分前からスーパー思いつきで書いてた小ネタ↓
休日!休日!
ってなわけで20日のイベントも行けそうです。
ああ、書いてる内に14日になってしまった。
以下30分前からスーパー思いつきで書いてた小ネタ↓
「あー、やばいな。そろそろ寝ないと明日の仕事が……」
使用頻度のそれほど高くないキッチンから見える時計は午前三時を指している。
今から寝たら、睡眠がどれぐらい確保できるだろう。もう寝ないと。いや、まだ眠れない。
こっそりレシピを印刷して、女性陣の視線から逃げるように事務所を後にしてデパートへ直行し、必要な物を買い揃え、家に帰ってきてから何度も何度も手順を確認して、リボンの結び方を練習して……などとやっていたらすっかり夜も更けてしまった。
製菓会社のビジネスに乗せられてモヤモヤしたものを胸の内に感じるが、貰ったものは返さなくては、という義務感に俺は突き動かされていた。直接渡されたわけでも無ければ見返りを要求されていたわけでも無かったのだが、見るからに手の込んだ美味しいチョコケーキのお礼にそれなりの対価は必要だろうと、自分も手作りの物をお返ししようと思い立って動いたはいいものの、果たしてこれを渡したら律子はどんな反応をするのだろうか。
「えぇっ、手作りなんですか!? 嬉しいっ、プロデューサー大好き!」
と、ガバッと大胆にもハグしてくる律子。
あー、さすがにありえないな、これは。変な願望入りすぎだろう、俺。
こんなことがあったらその日中に大津波が東京を襲いそうだ。
「あー、手作りなんですか? アヤシイ物とか入れてませんよね?」
と、渋い顔で包みを受け取り、溜め息混じりに揺れるエビフライ。
うーん、これも無さそうだ。たとえ本音で思ってたとしても流石に口にはしないだろう。
そもそも律子自身が手作りの物をくれたんだから、嫌な顔まではしないはずだ。
「え、これプロデューサーが作ったんですか? へぇ……」
意外そうに目を丸くしたかと思いきや、すぐさま品定めを始めて、
「ま、三倍返しには程遠いですけど、これで妥協しときますか」
なんて言って、にっこりと笑う。
お、これが一番「らしい」かもしれないな。
ついでに「美味しいですよ」なんて言ってもらえたら嬉しいな。バレンタインに手作りのチョコを渡す女の子の気持ちが、ほんの少しは分かるかもしれない。
よし、それじゃあ、あと一頑張り、ラッピングを仕上げてしまおう。
そして、翌日。顔を合わせるや否や、律子は眉間に皺を作った。
「ちょっと、プロデューサー、目の下にクマできちゃってますよ」
「ああ、昨晩ちょっと遅くまでかかっちまってな」
「全く、仕事を効率良く進めないから、そんな深夜までかかっちゃうんですよ。ちゃんと寝ないと、翌日の仕事にも差し支えちゃうんですからね。ちょっと栄養ドリンク持ってきますから、待ってて下さい」
と、律子が踵を返そうとする。
「おっと、待ってくれ、律子。これを持って行ってくれ」
思った以上に眠気が頭にのしかかり、考えていた言葉を上手く紡ぎだせずに、取り出した包みを無造作に手渡しただけだった。
「先月は、ありがとうな」
「あ~、正直言って期待はしてなかったんですけど、ちゃんと持ってきてくれたんですね」
「食いすぎるなよ、と言いたい所だけど……残すなよ」
手作りだから、の一言は、なぜか言えなかった。
「はい、しっかり頂きますんで。んじゃ、持ってきますね、栄養ドリンク」
お喋り感覚でサラッとそう言って、律子は背を向けて歩いていった。
今にも踊りだしそうなほどにその軽い足取りは、見ていてどこか可笑しかった。
終わり
PR
この記事にコメントする