のんびりゆったりお気楽に
久々に律子スレに投下してきました。
続きは下から。忍者ブログの追記はリンクが見づらいですのう。
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「おはようございます、プロデューサー」
「ああ、こんばんは、律子」
「なんでこんばんはやねん!」
すぱん、と響く小気味良い破裂音と、脳天に軽い衝撃。
「あいたっ。全く、朝一番からハリセンで叩くなよ」
「何を言ってるんだか。いつものことじゃないですか」
小型のハリセンを鞄にしまいつつ、律子がしげしげと俺の顔を眺めた。
そして、一呼吸置くと、眉尻が吊り上がって、くしゃっと眉間に皺が寄った。
「プロデューサー、また髪が寝癖になってますよ」
「本当か?」
「ちょちょいっと直しちゃうんで、ジッとしててくださいね」
こちらが触れて確かめる前に律子が爪先立ちになり、すっと手が伸びてくる。
自分でやるから、と遠慮してみても、「いいからいいから」と、押し切られてしまった。
「これでよしと。プロデューサーだって営業で顔見せするんですから、しっかり身だしなみ整えてくださいよ?」
腕を組んで律子が下から俺を見上げる。頭一つ分も違うのに、妙に威圧感があるのは何故だろう。
と、その脳天に糸くずがついているのに気がついた。
「そういう律子も、頭に何かくっついてるぞ」
「え? どこですか?」
見当違いの場所をペタペタと触る律子の手に重ねるようにして、脳天の糸くずを拾う。
悪戯心が湧いて、つやつやした髪に少しだけ指を絡めると、律子の眼差しに疑いの色が浮かんだ。
「ほれ」
白く縮れた『証拠』を見せると、レンズ越しの視線が穏やかなものに戻った。
「どうも」
律子が一礼する。
「クセっ毛がどうこう言ってた割には、サラサラしてるじゃないか?」
「んー、根元はいいんですけどね……毛先にいくに連れてウェーブになっちゃうんですよ」
ほら、この辺とか、と言いながら、律子がお下げの先端を示した。手を伸ばしてそこに触れてみる。
「ああ、確かに、こことは違うな。こっちはサラサラなのに──」
「ウオッホン!」
突然背後から聞こえた咳払いに、慌てて手を引いた。
「仲良きことは美しきかな……だが、しかし、だな……」
おはようございます、と揃って頭を下げる俺達に、社長は何か言いたそうにしていた。
「どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「……いや、いつも通り調子が良さそうで、何よりだ」
低い溜め息が、オフィスの空気に霧散した。
「ああ、こんばんは、律子」
「なんでこんばんはやねん!」
すぱん、と響く小気味良い破裂音と、脳天に軽い衝撃。
「あいたっ。全く、朝一番からハリセンで叩くなよ」
「何を言ってるんだか。いつものことじゃないですか」
小型のハリセンを鞄にしまいつつ、律子がしげしげと俺の顔を眺めた。
そして、一呼吸置くと、眉尻が吊り上がって、くしゃっと眉間に皺が寄った。
「プロデューサー、また髪が寝癖になってますよ」
「本当か?」
「ちょちょいっと直しちゃうんで、ジッとしててくださいね」
こちらが触れて確かめる前に律子が爪先立ちになり、すっと手が伸びてくる。
自分でやるから、と遠慮してみても、「いいからいいから」と、押し切られてしまった。
「これでよしと。プロデューサーだって営業で顔見せするんですから、しっかり身だしなみ整えてくださいよ?」
腕を組んで律子が下から俺を見上げる。頭一つ分も違うのに、妙に威圧感があるのは何故だろう。
と、その脳天に糸くずがついているのに気がついた。
「そういう律子も、頭に何かくっついてるぞ」
「え? どこですか?」
見当違いの場所をペタペタと触る律子の手に重ねるようにして、脳天の糸くずを拾う。
悪戯心が湧いて、つやつやした髪に少しだけ指を絡めると、律子の眼差しに疑いの色が浮かんだ。
「ほれ」
白く縮れた『証拠』を見せると、レンズ越しの視線が穏やかなものに戻った。
「どうも」
律子が一礼する。
「クセっ毛がどうこう言ってた割には、サラサラしてるじゃないか?」
「んー、根元はいいんですけどね……毛先にいくに連れてウェーブになっちゃうんですよ」
ほら、この辺とか、と言いながら、律子がお下げの先端を示した。手を伸ばしてそこに触れてみる。
「ああ、確かに、こことは違うな。こっちはサラサラなのに──」
「ウオッホン!」
突然背後から聞こえた咳払いに、慌てて手を引いた。
「仲良きことは美しきかな……だが、しかし、だな……」
おはようございます、と揃って頭を下げる俺達に、社長は何か言いたそうにしていた。
「どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「……いや、いつも通り調子が良さそうで、何よりだ」
低い溜め息が、オフィスの空気に霧散した。
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